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肥満症患者を対象とした試験は、食事療法や運動療法が併用されることもあり、試験の途中で脱落してしまう被験者が少なくない。脱落する理由、脱落を乗り越える理由とは何か。2024年度中に肥満症患者対象の治験に参加した2名の被験者に、治験に参加した動機や参加期間中に経験した苦労などについて聞いた。
参加動機は「減量したい」という思い。
合併症などの条件をクリアして参加へ。
インクロムの肥満症患者対象治験に参加したきっかけを教えてください。
Fさま:5年ほど前、ダイエット食品のモニター試験に参加したくて、ボランティア登録をしました。そちらの試験には参加できなかったのですが、その後、「ダイエットに関心があるなら、こんな試験もありますよ」というお知らせをいただくようになりました。今回の肥満症患者対象の治験は、高血圧症と脂質異常症の薬を服薬していることなど、条件が合っていたので参加することにしました。
Tさま:10年ほど前にボランティア登録をしました。以来、ワクチンの治験や脂質異常症患者対象の治験など、いろいろな治験に参加してきました。今回の肥満症患者対象治験は、肥満度やコレステロール値などの条件が自分に合ったので、参加を希望しました。
治験開始前に抱いていた期待と不安について教えてください。
Fさま:それまでいろいろなダイエットを試してきましたが、思うように成果が出ず、行き詰まりを感じていました。なので、参加前は「薬の助けを借りれば減量ができるかも」という期待が大きかったです。特に不安はありませんでした。ただ、家族は少し心配したようで、娘は「開発中の薬って安全なの?」と不安を口にしていました。私自身が治験薬の効果や副作用などを丁寧に説明することで、最終的には納得してくれたようです。参加したいという私の気持ちに理解を示し、見守ってくれた家族に感謝しています。
Tさま:初めて肥満症患者対象の治験に参加したのは3年前で、今回は2回目です。1回目に参加したとき、私はプラセボに当たりました。それにも関わらず、10kgの減量に成功したんです。治験終了後に「プラセボでした」と告げられたときは、がっかりしたような喜ばしいような、複雑な気持ちになりました。そんな経緯もあって、2回目に参加するときは「今回もプラセボかもしれない」という不安と、「今回はどれだけ減量できるだろう」という期待がありました。
スタッフがきめ細かいサポートを実施。
減量効果がモチベーションを高める。
治験薬の副作用などで困ったことはありましたか。
Fさま:服薬を始めてしばらくは、便秘に悩まされました。治験コーディネーターさんに相談すると「どうしてもつらいときはお薬を出してもらうこともできますが、できるだけ食事療法で自然なお通じをめざしましょう」と励ましてくださいました。水分を積極的に摂るようにすると、3カ月ほどで便秘は解消されました。
Tさま:治験薬の用量が増えたとき、胃に不快感があり、食欲が減退するような感覚を覚えたことがありました。気持ちの良いものではありませんでしたが、「今回はプラセボではなさそうだ」「これで食事量が減らせる」と、むしろポジティブにとらえていました。
運動療法や食事療法で苦労したことを教えてください。
Fさま:運動療法として、私はウォーキングをするよう指導していただいていました。もともと運動が苦手なこともあって、続けられるか心配だったのですが、序盤から体重が着実に減っていったので、モチベーションを保つことができました。何より、治験コーディネーターさんや看護師さんが「良い結果が出ていますね!」「この調子でがんばりましょう」と励ましてくださるので、やる気が出ました。1kg増えて落ち込んだときは「そんなに気にしないで」と慰めてくださったことも。みなさんのおかげで継続することができました。
Tさま:治験薬の効果で食欲が抑えられるので、食事療法はそんなにつらくなかったです。薬に慣れると食欲は出てきますが、食べたものを記録して報告しなければならないと思うと、何となく食べる気が薄れます。それだけで間食は控えるようになりました。
減量効果や栄養指導など、得るものが多い治験。
「また参加したい」という気持ちに。
治験を終えた今の気持ちを教えてください。
Fさま:私は、参加して約1年2カ月の現時点で約6㎏減りました。自己流のダイエットでここまで減らせたことがなかったので、素直に嬉しいです。「夜は食べない」「階段を使う」など、昔は守れなかったルールが守れるようになり、自信がついてきました。「シルエットが変わってきた」と、娘に褒めてもらえたのもうれしかったです。
あと2カ月ほどで治験が終わります。治験が終わると大きくリバウンドするのではないかという不安もありますが、お医者さんや管理栄養士さんに「今の習慣を続ければ大丈夫」と言っていただいているので、このままがんばりたいです。
Tさま:いろいろな治験に参加してきましたが、肥満症患者対象治験の特長は、栄養療法の指導が受けられるところだと思います。管理栄養士さんに、1日に食べるべきご飯・お肉・野菜の量を分かりやすく教えてもらえたり、中性脂肪をできるだけ増やさない食べ方などを教えてもらえたりと、勉強することが多いです。直接お話ができるので、分からないことを気軽に質問できるのも良いですね。今回の治験では、約15kg減量できたので満足しています。
インクロムへの印象を教えてください。
Fさま:スタッフさんがすばらしいと思います。お医者さんも看護師さんも治験コーディネーターさんも、薬剤師さん、管理栄養士さん、受付の方も、皆さん優しくて温かいです。緊張感のあるお仕事だと思うのですが、私たち被験者の負担にならないよう配慮してくださっているのが伝わります。アットホームな雰囲気があり、ここへ伺うとほっとしますね。条件に合う治験があれば、これからも参加させていただきたいです。
Tさま:被験者として、信頼できる会社だと思っています。インクロムさんを通じて参加する治験で、不安を感じた覚えはありません。治験に関する説明が毎回詳細で充実しているし、お医者さんや治験コーディネーターさんの態度に誠実さを感じるし、何度治験に参加してもその印象は変わらないですね。今後も、私に参加できる治験があるなら、積極的に参加したいと思っています。
(公開日:2025年 2月 ??日)